少女趣味こーなあ 長屋版

今月の少女趣味こうなあ 二十六

前へ        大木 実

 

少年の日読んだ「家なき子」の物語の結びは、

こういう言葉で終わっている。

―前へ

僕はこの言葉が好きだ。

物語は終わっても、僕らの人生は終わらない。

僕らの人生の不幸は終りがない。

希望は失わず、つねに前へ進んでいく、物語のなかの少年ルミよ。

僕はあの健気なルミが好きだ。

 

辛いこと、嫌なこと、哀しいことに、出会うたび、

僕は弱い自分を励ます。

―前へ。

 

 

 

 

虎さん 大木実さんは、一九一三年生まれ、一九九六年に亡くなりました。

熊さん 前へといえば、坂本竜馬が「男なら死ぬ時は例え溝の中でも前のめりに死にたい。」と言ったという話を聞きましたが・・・・。

虎さん ネット情報では、マンガ「巨人の星」の父星一徹が、坂本竜馬の言葉として息子飛雄馬に語るシーンがあり、作者の梶原一騎の創作ではないかとも言われてるみたいやな。

ご隠居 マンガつながりで申し訳ないけど、先日読んだマンガで「人の身体は不思議でさ、登るのは簡単で下るのはナゼか難しくできてるんだよね。ってことわだ、人ってのはたぶん上向きとか前向きにできちゃっているんだろって」という文を読んだ。

熊さん 最近のご隠居さんの知識はほとんどマンガからですなあ。

ご隠居 いやいやマンガを馬鹿にしてはいかんぞ。

熊さん マンガを愛読しているという割には、落ちなく終わろうとしましたな。

ご隠居 すまん、これが落ちやねん。