苦悩する科学  田近伸和

◎一つの神経細胞は1万個から10万個の入力を受けつけ、たったひとつ出力します。通常、短い間に1000個や2000個程度が入力しても、神経細胞は出力しません。だっていつも出力していたら、かえって混乱しちゃいますから。人と会話しているときでも、たいていは「馬の耳に念仏」で、よほど面白いことに接したとか、感動したというときに、はじめて出力するのです。

◎脳は出力したときに、それ以前のことを記憶するようにできています。だから、映画や演劇などでは最後を盛り上げるのです。 

◎目標が咲きに設定され、その目標を達成するための脳回路を、その後作るので、「夢を」つまり目標があらかじめないと、脳が情報処理すべき方向性が与えられず、迷走状態になってしまいます。脳は「できる」と確信すれば、それが実現するように働くのです。